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陽だまりの仮面 -嘘-

第13章 失恋

「―――――は?」



「恋人ごっこを辞めた覚えはありませんよ、僕。」



「それは……ッ「いいから。遅刻しちゃいますから」



「!!!」




あたしの言葉を遮り、あたしが胸を痛めつつも振り解いた手をいとも簡単に繋ぎ、また自転車へと誘導する。


その手を2度、3度。


振り払おうと力を入れてみたけれど、最初の時のような触れるくらいの力で繋がれてはいなくって


振り払う事が出来ず、結局促されるがまま



あたしは、花木君が乗る自転車の後ろへ。



「ほら、しっかり掴まってください?」


「………。」



……まるで。


花木君の後ろに初めて乗った時を思い出させるような、シチュエーション。


後ろに乗るあたしの手を自分の腰へと回し

お腹前で両手を結ばせ



「そのまま、しっかり掴まっててくださいね」



あたしが手を離さないように、両手を花木君の前で結ぶあたしの手の上からギュッと握り



いつもと変わらない、あたしと花木君の光景。




学校へと自転車を漕ぎ始めた。




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