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陽だまりの仮面 -嘘-

第13章 失恋

見慣れた通学路を花木君の後ろで揺られながら



花木君の行動に理解が出来なくて


終始、戸惑いMAX。



昨日。



一睡も出来なかったあたしとは違って、清々しいまでもいつもと変わらなかった花木君。


いつもと変わらない挨拶。

いつもと変わらない接し方。





………いつもと変わらない、“ごっこ”。



何もかもが、先週までのあたし達と何ら変わらない感じで。

花木君までも何ら変わらない感じで。


まるで


変わったのは、あたし1人だけみたいな感じで。


この、何ら変わらない朝に自分1人取り残されているような、そんな錯覚に陥ってしまう。



花木君の後ろで揺られながら、チラリと花木君の後ろ姿を見上げる。

サラサラの黒髪が風に靡き、花木君の香りも一緒に風に乗ってあたしの鼻を掠める。


いつもならドキドキしてしまうこの香りも、今日はドキドキっていうよりも

やっぱりギュッと胸が締め付けられる。



――――1つ、だけ。



1つだけ、今、花木君に問いたい事がある。


………だけど…


それを問う勇気が、あたしにはなくて言葉を飲み込んでしまう。



1つだけ問いたい事。

それは……





あたしの告白も……





彼にとっては、何ら変わらない日常の数分間





だったの……?




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