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陽だまりの仮面 -嘘-

第15章 流れる心 2

「ちょっ………」



“ちょっと止めてよね”



そう言って、気安く人の頭をポンとしてみせる橘の手を払い退けてやりたいのに




「勉強も、良い子ちゃんにしてるのも

ホント、良く頑張ってるよな」




嫌味な風な言い方じゃなくて、本気でそう思ってるような言い方をして

また、再度人の頭をそっと撫でる橘の





“良く頑張ってるよな”






この言葉に






―――――不覚。






ほんの少しだけ…

心が震えてしまって、何も言い返す事も出来ず

何も行動する事も出来ず


ただ、椅子に座って頭を撫でられる形になってしまった、あたし。







……だって。








今までそんな事



“頑張ってるな”



言ってくれる人







居なかったから……。







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