テキストサイズ

陽だまりの仮面 -嘘-

第15章 流れる心 2

「何言っ…「フラれたんだろ?」



あたしの言葉を遮り、ザワザワと騒がしい昼休憩に相反して静まり返る、この“別空間”に橘の声が響く。



と、同時に






ドクンドクンドクン…――――






あたしの鼓動も、響く。





そんなあたしの視線を捕えたまま、橘はスッと椅子から立ち上がり

あたしの目の前で少しだけかがみ、目線を真っ直ぐあたしに合わせ





「俺なら出来るよ」




「え…?」




「昨日、あんたらが話してたこーと。」



そう言って、ニヤリと笑い

ずっとあたしの右手を掴んでた手を離し、そのままあたしの頭に再度、ポンと乗せ





「俺なら忘れさせる事が出来る」




「…ッッ!?」




「俺が忘れさせてやるよ

花木の事」





目を細めて優しく微笑し、あたしの顔を覗き込む橘に




あたしの心は、警鐘が鳴るかの如く




“忘れさせてやる”




心が激しく波打つ。




ストーリーメニュー

TOPTOPへ