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陽だまりの仮面 -嘘-

第15章 流れる心 2

中には。

弱虫だと思う人もいるかもしれない。

ヘタレだと思う人もいるかもしれない。


たった1回の失恋ごときで、って罵る人もいるかもしれない。



でも、あたしには本当に今の状況が辛くって仕方がなくて。




この流れに身を任せてみようか…





――――利用。





橘を果たして好きになるのかどうかは今の時点じゃ全然分からないけれど


だけど、利用って言い方は汚いかもしれないけど


でも、結局は利用することになるんだと、思う。



今の苦しい、辛い状況から逃げ出すために、橘を利用してもいいんじゃないか。



そういう想いがあたしの心の中にどんどんどんどん広がって



花木君を好きだという気持ちよりも

どのみち忘れなきゃいけないんだから、今が良いチャンスじゃん


この思考が勝って





ユラユラと揺れる瞳のあたしの顔を捕える、橘の瞳を真っ直ぐ見つめ





「………お願いしま」





言い掛けた、その時







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