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陽だまりの仮面 -嘘-

第16章 2つの腕

……そうよ。


今日は朝から花木君は居なかったし、休みだと思ってたのに




「何で……いるの…?」




休みじゃなかったの……?





あたしの問いに花木君はふらりと笑みを浮かべ



「その予定だったんですけどね、」



また1歩とあたしとの距離を縮め、少しだけ橘の方に視線を向ける



「僕が休むと、直ぐに“悪い虫”が琉愛に付きますからね」



「あ?
悪い虫って俺の事か?」




橘の低い声をフッと鼻で笑って問いには答えず

再び、あたしの視線を優しく捕え




「琉愛の“彼氏”は僕なのに」



“ね?”と言わんばかりに首を右に傾げニコリと微笑を浮かべるけれど



―――あたしは笑えない。




それどころか、更に増える

あたしの中の“何で?”という疑問。





“琉愛の彼氏は僕なのに”




意味が分からない。




“好きじゃない”




そう言った癖に。


なのに、何で、





「まだ続けるの?“彼氏”」




あたしをフッた癖に




「どうして……?」




あたしの彼氏をまだ演じるの…?








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