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陽だまりの仮面 -嘘-

第16章 2つの腕

「終わったって、何の事を言ってるんですか?」



「は?!テメーと彼女、もう終わってんだろうが!」



「意味が分からない事言わないで貰えませんか?」




目の前で、物凄い剣幕で花木君を睨みながら怒鳴る橘に


花木君はいつにない低い声で返しながら、あたしの右肩に顎を埋め

首に回された腕の力がほんの少し強くなる。



そんな花木君の吐息があたしの頬に軽く触れ







――――ドキドキ…






未だに激しく動悸してしまう、あたしの心臓…。



ついさっき、橘に流されていきそうだった癖に





勝手なあたしの心。





そんなあたしをギュッと後ろから抱き締める形で、花木君はフッと横で笑い




「そこの真意は君と今ここで談義しても仕方がない」



「いいから“琉愛”を放せよ!!」




怒鳴り声と共に、戸を蹴ったのか


ドン!!


という物凄い音が廊下と図書室に響き渡る。




と、同時に





♪キーンコーンカーンコーン♪





本鈴の合図。










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