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陽だまりの仮面 -嘘-

第3章 美女とメガネ

彼…、

花木君が言葉を発した後―――――・・・



『え…と…、今、何て…?』


『僕と牧村さんの取り巻きの目を欺けましょうと言ってるのですが?』


冗談なのか、本気なのか。

普段のあたしなら相手の表情を見て読み取れる感情も


花木君の、見事な無表情からは何も読み取れなかった。


だからこそ、彼が何でそんな事を言い出したのが分からなくて



彼に問うた。




『何で…?』


『…何がです?』


『何であたしと…その…』


『恋人ごっこをしようと提案したのか……

ですか?』


『う…うん…』


『それは』


『……?』


『それは、牧村さんがいつも誰にでも優しい人、

だからですよ』


『……へ?』


『牧村さんが、いつも笑顔でどんなしつこい相手にもにこやかな人だから。

牧村さんは優しい人だから、きっと断る事も安易じゃないんだろうなと思って。

だったら、僕と付き合ってるって事にしてしまえば牧村さんが振る事で心を痛める事もなければ

一々、さっきの彼のようにしつこくされる事もない。


そう思って、提案させてもらったんですが………』


『……僕では役不足でしょうか?』



『――――えっ…、』







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