
陽だまりの仮面 -嘘-
第17章 陽だまりの中で・・・・
「ほら、綴じて」
首を傾げ、ゆっくり、優しくあたしに話かける吐息があたしの鼻にかかり
「綴じるわけないでしょ!」
って
「どいてよ!」
って言いたいけど、阻止したいけど
近過ぎて、肌に伝わる花木君の体温で
思考と行動が伴わない。
そんな彼を、目を見開いたまま、何も発する事も出来ず花木君の瞳を見つめていたけれど
軽く首を傾げたまま、ゆっくりとあたしのほうへ近づく、花木君の顔が実際はコンマ何秒ほどの時間なのかもしれないけれど
あたしには完全にスローモーション。
じわりと
あたしの唇に、花木君の唇の熱が伝わる
そんな距離になった時
「綴じろよ」
彼の一言であたしは、ギュッと両手に力を入れ、
同時に
ギュッと瞳を綴じた。
