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陽だまりの仮面 -嘘-

第3章 美女とメガネ

ずっと無表情だった花木君の表情が、あたしの言葉で一瞬だけ崩れ



『何で僕が牧村さんと恋人ごっこすることが不満なんです?』


『え…?』


『学校で人気者の牧村さん。

優しくて明るくて、誰よりも人気者の牧村さん。

そんなあなたと嘘でも“恋人役”が出来る事は僕にとっては


ただただ光栄でしかないですけど』



そう言うと、ふふっと軽く笑った花木君。


無表情な表情しかあたしに見せた事が無かった彼が

初めてと言っても過言ではない微笑を、あたしに向けた。



その微笑が何だか嬉しくて。

ずっとずっと……

10年間、ほぼ読書してるか、声も表情も全てが無でしかなかった彼の


初めて、あたしに向けられた、微笑。



それが何より嬉しくて仕方が無くて



…この野郎!

笑顔、可愛いじゃないか!!



なんて心の中でツッコんでみたりなんかしちゃって。



『どうしますか?牧村さん』



彼の子の言葉に



『…宜しくお願いします』



そう答えてた。









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