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Sincerely

第3章 夢見る少女が消えた日。前編

メッセージを見てすぐにやってきたのだろう、スマホを片手にヒロヤが病室に現れた。

「勉強中だった?ごめんね」
「あ、キリのイイとこまで進んだから…」
小さく首を横に振る。
「歩ける?」
…そういえば術後まだ歩いてない。トイレとかも車椅子を使って行っていた。
手術した左膝は倍になるくらい包帯でパンパンに巻かれていて、動かすのもためらう感じだったのだ。
「分かんない…まだ歩いてないですから」
「じゃあ歩いてみる?リハビリだと思って」
ヒロヤが手を差し出してくれたので、出来るだけ左足に重心をかけないように立ち上がってみる。

途端にガクっとして、転びかけた。
「危なっ」
ヒロヤが抱き留めてくれたので、何とか床で膝をぶつけずにすんだ。

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