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Sincerely

第4章 夢見る少女が消えた日。後編

車の中でわたしはずっと外を見ていた。
「何か急に静かになっちゃったね。何かアキヤに言われた?」
───!
今言っていいだろうか。
ヒロヤの事を知ってしまったと。
その事についてヒロヤ本人の言葉で聞きたかったと。

迷った。
言ったから楽になれる訳じゃない。
多分もっと苦しくなる。
だけど────…

「うん。ヒロヤさんには奥様もお子さんもいるよ…って」
否定して、なんて言えないし言わない。
でも。
改めてヒロヤ本人の言葉で事実を話して欲しかったんだ。

「そっか…アキヤの奴が?」
小さく縦に首を振る。
「黙っててゴメン」


───やっぱり。
その一言でもう十分だった。

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