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Sincerely

第6章 そして、わたしは嘘をつく。

「こんにちは…はじめ、まして」

気圧される。
感情的に詰られるか、いきなりひっぱたかれるかされた方がよほど楽だった。
なのに、彼女は静かに、穏やかに佇んでいる。
正直───目前にいる彼女が怖い。
それだけ思わせるのに、彼女の存在感は充分過ぎるものを放っていた。

「ヒロヤさんからあなたの事聞いて、会いたいなあって思って。学生さんとは伺ったけど、高校生とは思わなかった」
3人でテーブルを囲んで。
一見、平和的な雰囲気さえ感じてしまいそう…だけど。
この会見はそんな甘いものじゃない。
これからわたしは、彼女に嘘をつかなきゃいけないんだから。

この人を傷つけない為に───

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