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Sincerely

第7章 8月の長い夜

ふたりで歩いて、スーパーに寄って。
夕飯の材料とか、マサヨシはビールとか買っちゃって。
そんなにいちゃつく訳でもないけど、端から見ると、若いカップルに見えていたりするんだろうか?
そんな事を思いながら、わたしは自宅に彼を招き入れた。


キュウリの酢の物。
カボチャの煮物。
野菜サラダ。
豚の生姜焼き。
豆腐の味噌汁。
母が仕事で不在の事もあるので、食事はそれなりに作れる。
家庭教師時代のマサヨシに振る舞った事も何度かある。


「久しぶりのユミコのご飯…おいしい」
「そう?良かった、腕落ちてなくて」
笑顔で食べてくれるマサヨシ。
この笑顔も久しぶり。
このほっこりした時間、すごく好きだったんだ。

でもわたしは遠くないいつか、
この笑顔を壊してしまうんだろうな───

それを思うと、気持ちがチクン…と痛んだ。

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