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Sincerely

第7章 8月の長い夜

ポタポタっと、わたしの頬に水滴が落ちてきた。
マサヨシの顔を見上げると、彼の茶色い瞳から涙があふれていた───
そして、声にならない声で、彼は続けた。

ユミコの事が好きでたまらない───と……


───やっと気づいた。
きっと、マサヨシはわたしを抱く事がわたしを傷つける事になるかもしれないと思って、3年近くずっと我慢してたんだ。
わたしとの年齢差とか、わたしがまだ高校生だっていう事実、色々な事を考えて。
そのジレンマを越えてでも、わたしと最後までシたいと思ってくれたんだ───そう思ったら、わたしは抵抗する事もせず、彼の頬に手を伸ばした。

そっと、彼の流した涙に触れる。
触れた涙の粒を拾って、わたしは唇へ運んだ。
「ユミコ…?」
驚きの混じった涙声。
わたしを押さえつけていた力も緩んでいく。
わたしはゆっくり身体を起こすと、そのまま何も言わずにマサヨシを抱きしめた。


裏切ってごめんなさい。
愛してくれて、ありがとう。
ふたつの想いを込めて───

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