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Sincerely

第7章 8月の長い夜

「もし…」
少しかすれた声。
わたしの耳元でマサヨシが囁く。

「もし俺が今夜、ユミコを抱く…って言ったら?」

「それって、下…心?」
わたしの声もかすれていた。
不安?恐れ?…何にわたしの気持ちが揺れているのかは分からない。

「下心か…ない、とは言わない。
 でも、どっちかといえば、俺なりの覚悟」


───何かが、わたしの中で動いた。


もう一度、マサヨシの頬に手を伸ばす。
輪郭を包むように触れて、わたしは小さな声で言った。


「ここじゃイヤ。
 わたしの部屋に───来て」
と───

もう、後には戻れない。
みんな、わたしの行動は間違ってるって謗ると思う。
でも、マサヨシの気持ちを受け止める事ぐらいしか、


今のわたしにはできない───…

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