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Sincerely

第7章 8月の長い夜

「んんーっ!!」
口に含んでいるマサヨシ自身に歯を立ててしまわないようにするだけで必死。
口が自由だったら、間違いなく大きな声で快感を叫んでいたと思う。
「ユミ…コ、いっぱい、溢れ…てる、よ?」
わたしの中から熱は音を立てて溢れ出し、太腿を伝っていた───

恥ずかしい。
言わないで。
汗と涙で顔をグジャグジャにしながら、首を横に振る。
でも、マサヨシに気持ち良くされている事が───幸せだった。


「ユミコ…、挿れ、たいっ」
わたしと同じくらい必死な彼の声。
「ここにっ…足、広げ…て……」
言われるままに仰向けで足を広げる。
直後、彼の熱い塊がわたしを貫いた───


全ての熱がひいても、わたしたちは身体を寄せ合っていた。
「痛く…なかった?」
「大丈夫…。
 わたし、エッチ過ぎて引いたでしょ?」
優しく声をかけてくれたのに。
恥ずかしくてマサヨシの顔を直視できない。
でも彼は、両手でわたしの顔を上げさせる。
優しく、深い、キス───
「いつもさっぱりしてるから、意外だったけど……」
茶色い瞳が三日月の形に。
「他の人じゃ見れないレアなユミコを見れて嬉しいよ」


───今更ながら思い出した。
わたし、マサヨシを裏切っていたんだって。
でも、いつか彼と離れる時が来ても、

この夜の事は。



幸せな思い出として持って行くって決めた───

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