テキストサイズ

Sincerely

第8章 晩夏(なつ)の夜の悪夢(ゆめ)

来週はもう新学期…という、8月の終わり。
家への道を急ぐわたしの前に、見覚えのある車が止まった。

「久しぶり…ユミ」

───ヒロヤだった。

連絡取った訳でもないのに。
この時間にわたしがここを通る保証もないのに。

会って、しまった───…


「立ち話もあれだし、乗って。
 これから出かけても、お家の方大丈夫?」
ひとつ肯くとセンターライン側に回りこんで、ヒロヤの隣に乗りこむ。
母の携帯に遅くなる旨のメールもしたので、とりあえずは心配ない…と思う。
制服姿のわたしが、ヒロヤの車に乗ってる姿───できれば、知り合いに見られたくない…

「ユミ、しばらく見ない内に印象変わった?
 なんか…綺麗になった」
「そう…かな?ヒロヤ…の、考えすぎじゃないかな…」
とりとめのない会話。
でも、今まで何も動きのなかったヒロヤが急に現れるなんて、


絶対、何か───ある。






ストーリーメニュー

TOPTOPへ