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Sincerely

第8章 晩夏(なつ)の夜の悪夢(ゆめ)

「…うん、そう。
 あの人が、わたしの彼氏、です」
わたしの肯定の言葉に、ヒロヤの声が歪む。
「本当にいたんだ…
 彼氏ってのはユミの予防線の言葉で、本当はフリーだと思いたかったのに…」
どういう…事?

わたしに背中を向けてたヒロヤが急に振り向いて、

わたしの腕を掴んで広いベッドに放り投げた───!


慌てて逃げようとしたけど、ヒロヤの動きは早くて。
わたしの上に覆い被さって動きを封じた。
どうしよう。
というか、どうして!?
今日のヒロヤ、変だ!
怖い───!

怖さで声が出ない。
泣いたり喚いたりできたら、まだ何とかできる気がしたけど…。
この時のわたしには、何もできなかった。

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