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Sincerely

第8章 晩夏(なつ)の夜の悪夢(ゆめ)

首を左右に振る度に、シーツに涙の粒が飛ぶ。
絶対、絶対───言わない。
例えこのままヒロヤがわたしの事を無理やり抱いたって。
恐怖が上書きされたって。
あの幸せな瞬間、その時の思いは奪わせない───!

口を割らないわたしに業を煮やしたのだろう、
「じゃあ、ユミの身体に聞く」
と、ヒロヤが改めてわたしの上に覆い被さった。
ショーツをはぎ取る冷たい指。
身体のあちこちを這う冷たい唇。
なのに、わたしの身体は熱を帯びて……
「ユミの感じる所、絶対ユミより知ってるから、俺」
フッと笑うヒロヤ。
「こうすれば溢れるもんな?」
指と唇で攻められる。
わたしの身体の中から何かがせり上がってきて───

「ああぁぁあぁっ!!」
───ビュビュッ!
恥ずかしい。
こんな年齢にもなって…お漏らし、しちゃった?
羞恥で顔が熱くなる。
「へぇ…もしかして、潮吹いたの初めて?」
わたしのリアクションを見て、意地悪く微笑むヒロヤ。
「あいつより先にユミに潮吹かせたんだな、俺」
マサヨシに勝った、と納得したのだろうか。
ヒロヤはわたしの腰をベッドから引きずりおろした───

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