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Sincerely

第10章 世界で一番、遠い場所 前編

山あいの駅で電車を下りて。
迎えに来てくれてた旅館の車に乗って10分程。
静かな林に囲まれた、全室離れの露天風呂つきの宿にわたし達はたどり着いた。


二人きりになると………落ち着かない!
何となく、何となくだけど…ソワソワしてしまう。

自宅でならマサヨシと二人きりになった事なんて何度でもあったのに、ちょっと環境が変わっただけでこのテンパりっぷり。

───落ち着こうわたし。
「ここって露天風呂が有名なんだ?
 お風呂、見てこようっと」
とってつけたように言って、小走りで浴室に行って扉を開いた。

湯けむりの向こう側には竹林。
どこからかせせらぎの音も聞こえて───

「わあ、いい雰囲気だね。
 早速だけど、一緒に入る?」
え……
マサヨシと…一緒に……お風呂?


ええぇぇぇっ!?


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