Sincerely
第10章 世界で一番、遠い場所 前編
カラカラ…
軽やかな扉の音がして、マサヨシが入ってくる気配。
もう、いよいよわたしは振り返れない。
かけ湯の音がして、
「ユミコ、隣入るよ?」
コクコクと首を縦に振る。
恥ずかしくて、彼の方に視線を向けられない。
でもそれはマサヨシも一緒だったみたいで、わたしの隣で温泉に浸かったものの、わたしの方に視線は向いてない。
…なーんだ、お互い様だ。
一人だけ身構え過ぎて損したかな?
そんな事を思った途端肩の力が抜けて、笑いがこぼれてしまう。
ほぼ時を同じくして隣でぷふっ…と吹き出す声。
たぶん、マサヨシも身構え過ぎだったんだね。
やっと視線を合わせられたわたし達は、しばらく声をあげて笑った───
笑った事で心の鎧が外せたのかもしれない。
さっきまで距離を置いて浸かっていたわたし達が、今や肌を触れあわせて浸かっている。
…わたしがマサヨシに寄りかかる体勢で。
後ろから、彼に抱きしめられるような体勢で。
軽やかな扉の音がして、マサヨシが入ってくる気配。
もう、いよいよわたしは振り返れない。
かけ湯の音がして、
「ユミコ、隣入るよ?」
コクコクと首を縦に振る。
恥ずかしくて、彼の方に視線を向けられない。
でもそれはマサヨシも一緒だったみたいで、わたしの隣で温泉に浸かったものの、わたしの方に視線は向いてない。
…なーんだ、お互い様だ。
一人だけ身構え過ぎて損したかな?
そんな事を思った途端肩の力が抜けて、笑いがこぼれてしまう。
ほぼ時を同じくして隣でぷふっ…と吹き出す声。
たぶん、マサヨシも身構え過ぎだったんだね。
やっと視線を合わせられたわたし達は、しばらく声をあげて笑った───
笑った事で心の鎧が外せたのかもしれない。
さっきまで距離を置いて浸かっていたわたし達が、今や肌を触れあわせて浸かっている。
…わたしがマサヨシに寄りかかる体勢で。
後ろから、彼に抱きしめられるような体勢で。