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BL短編

第3章 手に入れたい

僕の発言に、花村は目を泳がせて迷っている。

「花村のキスじゃ、女の子は落とせないよ。」

ちょっといじわるなことを言って。

「ね、僕と付き合ってみない?」
自分の分のミルクティーを開け、一口含む。
いつまでだって花村の答えを待つ気でいた。

心地よかった時計の音を聞きながら数を数える。断られた時はどう誤魔化そうか考えながら。

「だあああああああっ!」
突如あがる叫び声にびっくりすると、花村もオレンジジュースを開け、いつかのように一気飲みしてみせた。

「お前のこと、好き?とか、よくわかんねえ!だから俺は明日もここに来る!それでいいだろ!?」

今度は大型犬が敵を見つけて威嚇しているように、肩で息をし、僕に告げる。
そんな花村から言われた台詞に、僕は十分嬉しくなる。


「骨抜きになるほど好きにさせてみせるから覚悟して。」

上下する肩を抱きしめ、僕はそう言った。
そのままの体勢で、思ったことを口に出す。
「薫。」
「へっ!?」

「って呼んでいいかな?僕のことも弘樹って呼んでいいよ。」


何も言わない花村に訝しみ、顔を覗き込むと、ガッチガチに固まっていて。

「薫?」
心配になり目の前でふらふらさせてみれば、
「す、好きにしろ!でも俺は新山としか呼ばないからな!!!」

バッグを置いたまま、指導室から抜け出した薫を見送り、
「戻ってきた時のために、オレンジジュース買って来よう。」
僕も財布だけを手にし、指導室を後にした。




*こちらで一旦endとさせて頂きます。
次のページからはエピローグのような、ばっちりエロいことしてる花村と新山です。

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