BL短編
第6章 オオカミさんの甘い罠
教室で真尋を探す必要はない。
女子が固まっている中心にいる。
「真尋、これ母さんから。」
人前では素っ気ない風に、渡すことしかできない。
女子が周りにいる中で、僕の手作りだなんて言えないから、僕は偽る。真尋もそれをわかってくれた。
「ミキの母さんお菓子なかなか美味いんだよなー!」
がさごそと包み紙を退け、マフィンにかぶりつく。
ゆっくり噛んだあと、マフィンが喉を通過したのが見える。
「4.5くらいかな。」
昨日より悪くなってるなんて。
僕は落胆したように真尋から2、3歩離れる。
「真尋。」
「んー?」
相変わらず、甘いものに囲まれている真尋はにこにこ嬉しそうで。
「持って来るのめんどくさいからさ、僕でワンクッション置くの、やめて。家に来るか、母さんから受け取って。」
作っているのは僕なのに。
自分でもよくわからない断り方をしてしまった。
落ち着くまでお菓子を作りたくない。そんな気持ちになったんだ。
翌日から真尋のところに行かなくなった。
楽しい嬉しい恋しい。そんな気持ちで作れなくなってしまうなんて、僕は。
今の気持ちで真尋が望むものを作っても2点貰えるか不安なぐらい、内心にどろどろと黒いものが湧いていた。
女子が固まっている中心にいる。
「真尋、これ母さんから。」
人前では素っ気ない風に、渡すことしかできない。
女子が周りにいる中で、僕の手作りだなんて言えないから、僕は偽る。真尋もそれをわかってくれた。
「ミキの母さんお菓子なかなか美味いんだよなー!」
がさごそと包み紙を退け、マフィンにかぶりつく。
ゆっくり噛んだあと、マフィンが喉を通過したのが見える。
「4.5くらいかな。」
昨日より悪くなってるなんて。
僕は落胆したように真尋から2、3歩離れる。
「真尋。」
「んー?」
相変わらず、甘いものに囲まれている真尋はにこにこ嬉しそうで。
「持って来るのめんどくさいからさ、僕でワンクッション置くの、やめて。家に来るか、母さんから受け取って。」
作っているのは僕なのに。
自分でもよくわからない断り方をしてしまった。
落ち着くまでお菓子を作りたくない。そんな気持ちになったんだ。
翌日から真尋のところに行かなくなった。
楽しい嬉しい恋しい。そんな気持ちで作れなくなってしまうなんて、僕は。
今の気持ちで真尋が望むものを作っても2点貰えるか不安なぐらい、内心にどろどろと黒いものが湧いていた。