BL短編
第8章 最後のお願い
「最後に、和真兄の車乗りたいんだ。」
いいわけ。
本当はまだ一緒にいたいから。
「いいよ。乗って。」
和真兄の乗る黒いスポーツカー。よく燃費が悪いって愚痴っていたけど。
それもこのかっこよさを見ると、魅力の一部の気がしてくる。
「どこ行きたい?」
運転中のハンドル操作も、ギアの切り替えも、かっこいい。
滑らかな加速が気持ちよくて、窓を開けた。
「よく行った公園、あそこ行きたいな。」
車で五分もかからない、近くの公園は眺めがよくて好きなんだ。
「ここに来るのも久しぶりだなー。」
あっという間に着いてしまった。
余韻に浸る時間もなかったなあ。
シートベルトを外し降りようとしている和真兄の腕を掴む。
「和真兄。」
「どうした?」
「俺ずっと、和真兄のこと好きだったよ。」