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さようならも言わずに~恋は夢のように儚く~

第2章 壱

「私が事故に遭ったのは、まだ三歳のときのことで、実はそのときのことを私は殆ど憶えていないのです。後から聞いた話ですが、その時、私はつなでいた母親の手を振り切って、猫を追いかけて通りへと走り出てしまったそうですわ。ですから、相手の人だけが悪いと決めつけることはできないのです。もし、私が母の手をふりほどくことがなければ、その事故は起きなかったでしょうから」
 娘は言い終え、少しだけに淋しげに微笑んだ。

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