
さようならも言わずに~恋は夢のように儚く~
第2章 壱
娘が立っているのも辛そうだったため、嘉門は話の途中で座るように勧めた。いつもの指定席にやはり脚をひきずりながら戻った娘は、眩しい笑顔を嘉門に向ける。
「いつも熱心に本を読んでいるな。俺なんぞ、学問よりも剣を振り回していた方がつくづく性に合う厄介者で、自分でもいささか難儀している。だから、いつもそなたがここで愉しげに書物を読んでいるのを見て、羨ましいと思うていたのだ。一体、何の本を読んでいるのだ? そのように面白き本であれば、俺も是非、読んでみたい」
「いつも熱心に本を読んでいるな。俺なんぞ、学問よりも剣を振り回していた方がつくづく性に合う厄介者で、自分でもいささか難儀している。だから、いつもそなたがここで愉しげに書物を読んでいるのを見て、羨ましいと思うていたのだ。一体、何の本を読んでいるのだ? そのように面白き本であれば、俺も是非、読んでみたい」
