
白姫と炎帝の恋
第2章 現実
「……め、ま!!…姫様!!」
白瑛は青舜の声で目を覚ました。
と、同時に、あたたかい夢からさめてしまったことを残念に思った。
現実は夢のあの頃とはかけ離れていた。
顔の傷が少し痛む。
尊敬していた兄・白雄の落ち着いた笑い声も。
よく喧嘩した兄・白蓮の豪快な笑い声も。
大好きな父であり、偉大な皇帝でもあった、白徳の愉快な笑い声も。
もう、二度と耳にすることはできない。
あの幸せな風景は、二度と戻ってこない。
三人は、死んでしまったのだ。
父は敵国の敗残兵に。
兄たちは何者かの城への放火によって。
