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白姫と炎帝の恋

第2章 現実

そして、今がある。

「姫様?考え事でも?」

青舜が問う。

あの頃、白瑛のことをひめしゃま、ひめしゃま、と呼び、どこへ行くにもついてきた幼い青舜は、今は白瑛の従者、直属の部下となっていた。

父と兄を亡くした白瑛にとって、昔の面影を持った青舜がそばにいてくれるのは、とても嬉しいことだった。

白瑛は答える。

「ええ、夢をみていました。白龍が生まれた時の夢…、父上や兄上たちが、まだ、生きていた頃の夢です。久しぶりに彼らに会うことができました。」

白瑛は儚そうな笑みを浮かべる。

その顔は、なんだか泣きそうにも見えた。

「姫様……」

青舜は戸惑った。

(よりによってこんなときに、こんな報告をしなければならないなんてっ)

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