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あさちゃん

第16章 夏祭り(後編)

更に今回はやっかいな点が二つあった。

一つは、あさみのことだった。

自分だけがその様な面倒くさい罰を受けるのは構わないのだが、あさみにその害が及ぶのは何としても避けたかった。

そして二つ目は、優がその罰を目の当たりにしたことだった。

あさみと出会う前の、一年生の終わり頃。
競馬にのめり込んでいた優だったが、優の地元には場外発売場など無かった。近くで出来るギャンブルといえば、パチンコか競輪のどちらかだった。
競馬好きな優が選んだのは、賭け方も似ている競輪。学校が無い土日を狙って、度々車券を買っていた。

しかし、ある日警備員に捕まり、事務所に連れていかれそうになった。優はそれを振り切り、何とか逃れた。
翌週の学校では通報があったのだろう、緊急の全校集会が開かれ、『中学生にあるまじき行為』をした生徒をしらみ潰しに探すと教職員達は息巻いていた。

優『うあぁ…やべぇなぁ…』

優はそう思い、放課後、生徒指導の先生に自首しようと、生徒指導室を訪ねた。ドアを開けようとすると中から声が聞こえ、耳を傾けた。

事実は、卒業を控えた三年生の数人がパチンコに行っており、それが通報されたものだった。

当然入学の内定は取消しになり、その数名はその後どうなったのかも定かではなかった。

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