華姫と鮮血の恋
第1章 鮮血
「申し訳、ありませんっ…」
(わたくしが怖がったから、紅覇さまがっ)
「ううん、ごめんね。」
切なそうな顔で、笑う。
その笑顔に、華衣はドキンと、胸が痛くなった。
(っ……今の、なに?)
しかし、痛みの正体を、彼女は知らない。
「寝よっか。」
そういって華衣の寝間着を正し、ごろんと、背を向ける。
(僕、おかしい。こんなちょっとの時間で、こんなに大好きになっちゃうなんて。ははっ、僕らしくも無いしィ。)
紅覇は心の中で自分を嘲笑する。
と、同時に、虚しさがこみ上げてきた。
(こんなんしちゃったらァ、もう近づくのも難しいじゃん…)
紅覇の切ないため息と、華衣の可愛い寝息の広がる、2人の始まりの、夜であった。