両親へのプレゼント
第7章 ささやかなプレゼント
翌日、梨奈から私が勤めているホテルへ、彼女の自宅へ連絡を入れたことに対してのお礼の電話が入った。
「16日にお父様が退院されるそうですね。おめでとうございます」と私が言うと、
「ありがとうございます。今回はいろいろとご心配をかけてしまいまして....」
と彼女が謝罪をした。
「8月16日、もしよろしければ、ご家族で私どものホテルに宿泊されませんか? 確か、ご両親のご結婚20周年でしたよね?」 と私が言うと、
「でも、こちらの都合でキャンセルをしてしまったので....」
と残念そうに言ったため、
「まだキャンセルはしていませんよ。実は、梨奈さんのお父様が早く退院されるかと期待をしていましたので、部屋はまだ押さえています。ご安心下さい。また、お父様が入院されている病院からだと、車で15分くらいなので、ご自宅へ帰られるよりは、お疲れにならないと思いますよ。
もちろん、ご両親にご相談をされてから、お返事をいただければ結構ですから」
と私が言った。
「ありがとうございます。すぐに両親に知らせます」
梨奈は涙声になっていた。
彼女の両親への思いやりというものに感動した私は、彼女の両親へ二つのささやかなプレゼントを考えていた。
最初のプレゼントは、彼女の両親の結婚記念日ということで、部屋に花を手配することに決めた。
ただ、私のポケットマネーなので、そんな豪華なものではなかったが、メッセージを添えることにした。
(ご結婚、20周年おめでとうございます。これからも、末永くお過ごし下さい)