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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~

第3章 弐の巻

「さればこそ、主上も彼(か)のお方を心より愛されたのでしょう。これまで、あのような女人は主上のお側にはおりませんでしたからね。禁裏に仕える女房たちは皆、主上のご命であればその御意に従いますが、それは主上が帝であればこそのこと。仮に、主上がただ人であったとしたら、その意に素直に従ったでしょうか」
 そこで、安子は眼を閉じた。
 何かを思い出すような表情で語った。
 桐壺更衣こと高階祐子と帝は心から互いに愛し合っていたこと。

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