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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~

第3章 弐の巻

 二人が出逢ったのは、帝がこの大宮御所を訪れたときのことであった。二人はひとめで恋に落ち、惹かれ合うようになった。その恋の焔が燃え上がるまでに刻は要さず、二人は〝夜の御殿(おとど)〟と呼ばれる清涼殿の中の帝の寝所で夜毎、焔のような烈しさと情熱で愛し合った。

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