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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~

第3章 弐の巻

―主上は最近では、おん母君のお言葉にさえ耳を傾けられぬようにおなりあそばされた。
 宮廷人たちの間では取り沙汰されていることだ。数年前、帝が儀式の最中に典侍を手込めにした事件が起こった時、むろん、皇太后は帝を強く戒めた。しかし、当の帝は〝天子に父母なし〟と一天万乗の君である自分に意見できる者はこの世におらぬのだとやり返した。

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