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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~

第3章 弐の巻

「主上、弘徽殿女御さまのなさったことは、人として、けして許されることではございませぬ。さりながら、弘徽殿女御さまも桐壺の御息所とご同様、また主上をお心よりお慕いなさっておられたのでしょう。その切ない女心も少しはお察しなさって上げて下さいませ」
「―」
 帝の切れ長の眼がわずかに見開かれた。
「そなた、同じことを申すな」
「え?」

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