テキストサイズ

無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~

第4章 参の巻

 それに、どうして自分はあの日からずっと、ここに留め置かれているのだろう。日が経つにつれ、不安は増すばかりで、三度の食事すら喉を通らない日が続いた。
 そんなある日の朝、あの男が来た。
 安子の見舞いと称して参内した日から既に数日が経過している。下腹部から溢れるように湧いていた血もピタリと止み、心は幾分かは楽になった。それでも、公子は相変わらず部屋に閉じ込められた状態だ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ