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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~

第4章 参の巻

 昔は、こうではなかった。物心つく前、まだほんの二、三歳の頃は素直で愛らしい子どもだったのに。それが、いつからこんな風になってしまったのだろうか。記憶の糸を手繰り寄せてみても、いつ何をきっかけにして我が子がこんなにも変わってしまったのか、安子には思い付かない。
 ただ、一つだけいえるのは、帝の攻撃的な性格がはっきりと表に現れたのは即位して一年ほど経った頃からだ。丁度、四歳の誕生日を迎えたばかりの日、こんなことがあった。

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