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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~

第4章 参の巻

「もう、決めたことです。それに、母上、あなただって、公子が俺の妻になれば良いのではありませんか。昔から母上はあの姫を殊の外気に入っておられましたからね」
 帝は言うだけ言うと、立ち上がった。
「今日はこれから廷臣たちと会議がございますので」
 優雅に一礼すると、袴の裾を捌き、ゆったりとした脚取りで部屋を出てゆく。

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