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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~

第5章 四の巻

 四の巻
 
 公子は落ち着かぬ様子で周囲を見回した。
―ここは一体、どこなのだろう。
 帝がたった一度だけ姿を見せてから、更に三日が経っている。あれからは顔を見ることもなく日が過ぎており、幾ばくかは安心して毎日を過ごしていたのだが、今日は夕刻近くになって突然、見たこともない部屋に連れてこられた。

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