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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~

第5章 四の巻

「公子、そのようなことをしても無駄だ。ここは内裏だそ? 帝たる俺がそなたを望むのだ。たとえそなたがいかほど泣いて助けを求めたところで、誰も助けには来ぬ。観念して、大人しく俺のものになれ」
 突如として後ろから羽交い締めにされ、公子は悲鳴を上げた。
「いやっ、止めて。こんなこと、お願いだから、止めてえーっ!!」
 渾身の力を込めて抗ってみても、逞しい帝の腕に公子の動きは難なく封じ込められてしまう。

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