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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~

第5章 四の巻

 強い力でグイと引き寄せられ、公子は呆気ないほど容易くその逞しい胸の中に倒れ込む。思いがけず男の胸に頬を押しつける形となってしまった。
 狼狽して離れようとした公子の背にすかさず帝の手が回る。
「諦めろ、今宵、そなたは俺の女になる。それがそなたの運命なのだ、姫」
 耳許で熱く濡れた声が囁いた。

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