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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~

第5章 四の巻

 呼吸さえも奪われるかのような烈しい口づけは延々と続いた。男の舌が公子のわずかに開いた唇の間から侵入してくる。そのあまりのおぞましさに、公子は夢中で唇を固く引き結び拒んだ。
 深く唇を結び合わせながら、男の手が夜着の上から乳房をそっと包み込む。やわらかな感触をそっと上から確かめるように押され、その輪郭をなぞられる。その刹那、得体の知れない―嫌悪感とも違う妖しい震えが腰から下腹部にかけて走り、公子は戸惑った。

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