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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~

第5章 四の巻

 一体、どんな仕打ちを受けるかと想像しただけで、恐怖に身体が戦慄く。だとすれば、ここから何としてでも脱出するしかないのだけれど、どうやって逃げれば良いのか。
 公子は途方に暮れた。
 そろそろ桜の花の蕾が綻ぶ時分だが、真夜中は流石に冷える。薄い夜着一枚きりでは余計に寒さと夜風の冷たさが身に滲みた。

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