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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~

第6章 伍の巻

 伍の巻

 遠くから、せせらぎの音が聞こえてくる。
 公子は夢の中で、その川の流れる音に耳を傾けていた。
 公子の回りには一面の白い花が揺れている。懐かしいこの花は、そう、雪柳。
 公子が生まれ育った左大臣家の庭にも咲いていた。

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