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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~

第5章 四の巻

 二人は風を切り、夜のただ中を駆け抜けてゆく。―それは、幸せな夢だった。
 夢の中で風となり、公子は笑っていた。
 嬉しげな笑い声が夜の闇に響き渡る。
 眠りながら、公子は夢の中の自分の笑い声を聞いていた。
 そして、これが、紀伊公之(たかゆき)と公子の運命的な出逢いであった。

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