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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~

第2章 壱の巻

「だって、こんなお天気の良い日に勿体ないじゃない? 折角気持ちの良い昼下がりなのよ。庭に出て花を見るくらいは許されるのではないかしら」
「まっ、また、そのようなことをおっしゃって。たとえ、お屋敷のお庭内とはいえ、どこから誰が垣間見しているかも判らないのですよ。仮にも左大臣さまの姫君でおわされるのですから、もう少しご自重して頂かなければ」
「まあ、相模ったら、いつも大袈裟なんだから」

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