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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~

第6章 伍の巻

 公子もまた幼い頃の話に始まって、色んなことを話した。〝虫めずる姫君〟の物語の姫君のように虫が好きで、部屋で大人しく貝合わせをするよりは、庭に出て虫捕りをしていた方がよほど愉しかったこと。そんな自分が風変わりだと、世間からは変わり者扱いされ、〝今虫めずる姫君〟などと呼ばれるようになったこと。
 その話に、公之は愉快そうに笑いながら応えた。

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