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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~

第6章 伍の巻

 しかし、いくら捜索しても、公子はこれこそ雲か霞のように姿を消してしまった。二、三ヵ月は執拗にそのゆく方を追い求めていた帝も流石に今は諦め、また以前のように禁裏の年若い女房たちと戯れの恋の花を夜毎、日毎咲かせ、華やかに浮き名を流しているという。

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