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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~

第6章 伍の巻

 五ヵ月前の夜、公子が突如として宮中からいなくなった後、帝はしばらくは狂ったようにそのゆく方を追っていたらしい。公子を捕らえるために都大路を検非違使たちが物々しい様子でうろつき回っていたことなども、公之の話を通じて知ったことだ。

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